2011/02/18

黒い森

むかしむかし昭和の頃、大阪で万国博覧会が開催された。その中に住友童話館というのがあった。当時幼すぎて私はほとんど何も覚えていない。ただこの童話館に入ったのが夕暮れ時だったこと、ガラス窓の中に童話の世界が繰り広げられていたこと、それらがよく見えるように父がひょいと抱っこしてくれたことだけをおぼろげに覚えている。そして何故だか私はこの住友童話館の小冊子を持っていた。表紙の縁に童話館で見た主人公の人形たちが並んでいて、浦島太郎、かぐや姫、シンデレラ、ブレーメンの音楽隊、はだかの王様、アリババと40人の盗賊など世界の童話が集められた小冊子だった。何度も何度も母に読んでもらい、自分でも読むようになり、小冊子はセロテープだらけでぼろぼろになった。今でも実家の宝箱の中に納まっている。
こうして私は大の童話好きになった。

お気に入りのグリム童話を読みながら、森ってどんなのだろうと想像した。日本は山ならいくらでもある。けれど森は身近にない。草薮を踏み分けず歩いていける森にあこがれた。深い森の中、歩きつかれてお腹がすいて、目の前にお菓子の家が現れたら!森で迷ってみたいとさえ思っていた。

高台から黒い森
さてこの「ヘンゼルとグレーテル」の舞台となった
「黒い森」がアルザスからドイツ側に広がって見える。

フランスは六角形の形をしていることから l'Hexagone/エグザゴン(六角形)と呼ばれたりもする。
アルザスはこのエグザゴンの北東に位置し、面積は兵庫県と同じぐらいらしい。縦長のヴォージュ山脈を境に西側がフランス・ヴォージュ県、東側がバ・ラン(ラインの下流)県とオ・ラン(ラインの上流)県からなるアルザス地方。県名のとおり、スイスを源泉とし、オランダのロッターダムで海に合流するライン川がヴォージュ山脈に平行して流れている。このライン川沿いは、現代のフランスとドイツとの国境でもある。そしてドイツ側、ちょうどヴォージュ山脈と向かい合うように、ライン川に沿って広がっているのが「黒い森」だ。

「黒い森」とはなんとシンプルで神秘的な名前だろうと私はいつも思う。童話の舞台にぴったりだ。
ドイツ語でSchwarzward/シュヴァルツヴァルド、フランス語ではForêt Noir/フォレ・ノワール。

ケーキ好きはここでピンと来るかもしれない。チョコレートスポンジの間にサクランボのシロップ漬けが挟まれ、生クリームで覆われたあの美味しいケーキ。ドイツ語でSchwarzwalder-Kirschtorte(シュヴァルツヴェルダ-キルシュトルテ)、黒い森のサクランボのお菓子と言ってドイツ生まれらしい。
フランス語ではそのままForêt Noir/フォレ・ノワール、アルザスのお菓子でもある。日本のケーキ屋さんでも最近よく見かけるが、旅行の機会があれば是非本場の味を試していただきたい。日本と違ってサイズが大きい上、ドイツ・フランス共にサクランボがたっぷり強いアルコールに漬けてあるからお酒がダメな人には要注意。私もそのひとりで「黒い森」に真っ赤になって、すっかり酔っ払ってしまったことがある。

黒い森周辺にはドイツの観光地、保養地がいくつもある。そこで次回はドイツの町を紹介したい。

2 件のコメント:

  1.  おそようございまーす(*^^)v シャイやぎさん!
    今日は、朝寝坊してしまったア 只今朝ご飯の用意中...

    その住友童話館での事!なんて素晴らしいエピソード記憶なんでしょう!!御両親さまの愛しみに包まれて...
    その昔々万博へは10回ほど通いましたワー
    茨木市に居たのなのに..住友童話館へは行かなかった。

     神秘的「黒い森」同感!!で今森のなかを歩いてお菓子を食べて?良いなー純粋でロマンが溢れてますよネー
    サクランボのお菓子美味しそうヨッパライココモ(@_@;)

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  2. 万博10回ですか!スゴイ!!でも見所いっぱいだったみたいですね。最近ネットで見てへぇ~~!!なんてのがいっぱい。

    今日も美味しそうな朝御飯なのかな??
    これから見に行きまーす!

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