2011/04/27

中世の山城 Haut-Koenigsbourg

今回はアルザスが自慢とする、中世の山城へご案内しよう。
ミュルーズからストラスブールに向って高速を走らせていくと、中間の街コルマールを過ぎてほどなく左のVosges側、山の頂きに中世の雰囲気漂う山城が見えてくる。これがHaut-Koenigsbourg/オー・クニグスブールだ。青空に映える城はポストカードそのまま文句なく美しいが、雨になりそうな灰色の空に聳える城も迫力があり、ドラマティックだ。夜はライトアップされるので、更に遠くまでその存在感を強くアピールしている。


Haut-Koenigsbourg/オー・クニグスブールは12世紀、Hohenstaufen/ホーエンシュタウフェン家によって建てられた「王の城」という名の城だ。1633年、30年戦争の戦いでスウェーデン人により焼失し、以後長い年月廃墟となっていた。1971年、普仏戦争でアルザスがドイツ領となった後、ドイツ最後の皇帝ウィルヘルム2世の命で1901年から1908年の年月をかけて修復され、綿密に中世の山城が再現されたのだった。その修復は見事である。当時のドイツ帝国の技術と財力、そして最後の皇帝ウィルヘルム2世と Bodo Ebhardt/建築家・考古学家の情熱の賜だろう。第2次世界大戦後アルザスがフランスになっても、1993年には歴史的建造物に指定され、今だアルザス観光の名所として多くの観光客の心を捉えている。

城の中も各部屋細やかな復元が行き届いている。その様子はまるで先日まで当時の人々が生活していたかのようだ。中庭からふと窓辺を見ると、無邪気な中世の娘達が微笑みかけているような気さえしてしまう。寒さが厳しいアルザスの山の上、冬はさぞ寒いに違いないと思うだろうが、タイル張りの大きな暖炉はエアコンより、セントラルヒーティングよりも心地よい暖となる。暖炉は現在使われているわけではないが、前にドイツのレストランで同じタイル張りの暖炉を見たことがある。その心地よい暖は最新技術のかなわないものだった。

おとぎ話に入り込んだような気分で城の裏側を下って来たところ、ふと聳え立つ城の壁に所々穴があるのに気付いた。何のためだろう?水路ではない。空気穴だろうか。それにしては大きい。
ちょうど係員が通りかかったので尋ねてみた。
「トイレだよ。昔は小便も大便も真っ逆さまに落ちていったのさぁ。」
そして直接、植物の肥しになっていったというわけか。大胆な中世の設計だ。
最後に知られざる中世お城物語の現実を垣間見たようで楽しくなってしまった。

4 件のコメント:

  1. 歴史的建造物を愚かにも戦争により破壊し、それを後世が叡智でもって復元するというどちらも人の行為なんですね。文化遺産は大切ですね。学術的な資料が有るからこその復元できるのですものね。

    排泄物の話は「へええええ」ですね。日本は厠っていつごろからあったのかなあって思います。

    返信削除
  2. わあ~ホント!オトギノ国みたいですネー
    上のは、絵?ですネー
    なんかオーストリア国境に近く、ルードヴィヒ2世が幼い時
    過ごしたホーエンシュヴァンガウ城に似てますワ

    下のは、シャイやぎさんが撮られたんですね!
    これは、造りがノイシュヴァンシュタイン城に似てるような気がしますウー
    山上にあるんですか?空気も綺麗で見下ろしたら素晴らしい
    景色!!ここまで車で登れるんですかアー?

    素敵な写真をありがとう(*^。^*)

    返信削除
  3. みいちゃんさん
    確かに資料があったからこそですね。どこかに残ってたのかなぁ。
    少々興味深い点です。

    日本の厠って、意外と古くから使われてたりするかもしれませんね。こちらも興味深々。
    フランスはベルサイユ時代、宮廷の庭ではドレスの下でこっそり済ませていたとか。だから香水が発達したと聞いたことがあります。奔放文化でしょうか?

    返信削除
  4. 珍竹林さん
    写真、上はポストカードで下のはフランス版ウィキペディアから
    です。ホントは行って撮りたかったのですが、最後に行ったのが
    数年前で、当時は全然写真を撮る習慣がなかったのです。
    色々撮っとけば良かったと今大後悔~。

    城は山の上ですが、車で登れますよー。景色は最高です!
    ドイツにも沢山のお城が残っていますね。ドイツの城めぐり、
    してみたいなぁ。。

    返信削除