2011/04/02

アルザスにも!

これまでアルザスについて、自然と街の美しさや長閑さを色々紹介してきた。ところがこのアルザスの情況を、日本の「FUKUSHIMA」が変えてしまった。今近隣国から「危険極まりない」と非難され、デモも起きている。アルザスのHaut Rhin/オ・ラン県(ライン川上流)、Fessenheim/フッセンハイムという村に、フランスで最も古い、1977年から稼動しているCentrale nucléaire de Fessenheim/フッセンハイム原子力発電所があるからだ。Mulhouse/ミュルーズから15Km、スイスのBasel/バーゼルから40Km、ドイツのFreiburg/フライブルグから20Kmというアルザスでも大変身近な地域に、である。観光、ショッピング、食べ歩きには便利で魅力的な国境沿いという利点、原発の危険性から見ると確かに「とんでもない」。しかもバーゼルはスイス第3の都市、大手薬品会社の本社もある。一方フライブルグはドイツが誇る環境都市で、近くにはバーデンワイラーをはじめとする温泉保養地もある。
 
フランス・ミュルーズ
福島第1原子力発電所の事故を受け、ドイツのメルケル首相(キリスト教民主同盟/CDU)は3月15日、ドイツの原発17基のうち、1980年以前に稼働を開始した7基について、当面運転を停止すると発表した。安全性を再点検するためとしている。それでも3月27日の州議会選挙ではCDUが惨敗し、環境政党、緑の党が大きく躍進する結果となった。
スイスでは現存する原発5基の稼動期間が近年中に終了するため、それらに代わる新しい原発の建設が計画されていたが、連邦議会は3カ所の原発建設計画を未だ議決しておらず、2013年に国民投票が予定されている。

原発に78%の電力量を頼るフランスでは、現在のところ特別な政策が出されていない。フランスは日本の地形と異なるので、地震、津波のような惨事は起こり得ないということだ。日本から流れてくる放射能の為、薬局で放射能薬(副作用大)の売切れが続くフランスの割りには呑気に思えるが、政策となると別のようだ。それでも3月27日に行われた仏統一県議選の決選投票では、野党の社会党が票を伸ばし、環境保護政党が原発に対する懸念の追い風で議席倍増になった。このような状況下、アルザスでは相変わらず与党の国民運動連合(UMP)に票が集まってしまったので、隣国の反感に繋がっている。

ドイツ・フライブルグ
ドイツにおける原発の電力量は全体の約23%、スイスは40%で、閉鎖すると40兆スイスフランの損失が出ると算出された。ちなみに日本は27%。

私は以前、ライン川沿いのフッセンハイム原発所のそばを通りかかったことがある。アルザスに原発があることは知っていた。「あそこのムッシューは長年原発で働いていたんだよ。もう定年になったけどね。息子はまだ働いてるよ。」なんて話は日常の会話にも出てきていた。原子力にヒヤッとはするものの、原発は原子爆弾とは別、核とはいえ平和利用であり、技術は常に進んでいる、事故は起こらないと信じれていた。そのため原発で働く人々は安全を第一に、それぞれの仕事に責任と誇りを持って臨んでいる。チェルノブイリは?となるが、20年前のソ連で起こったことだから・・・。確かに私は無知の楽観者だが、フランスも日本も大多数がそうだったから、これまで原発が突っ走ってこれた現実もあるのではないだろうか。事故は起こり得ない。起こっても大惨事には成り得ない。

フランスは日本と地形が異なると言うが、ライン渓谷は地震地帯で、1356年にはスイスのバーゼルで大地震が起こっている。起こるはずのないことが起こり続ける昨今の地球現象だ。千年に一度が明日かもしれない。人為的事故は人間の力で防げても、自然災害による事故の前で、人間はこんなにも無力になってしまうのか。「FUKUSHIMA」は世界にそれを見せつけた。

スイス・バーゼル
だからといってどこの国であれ、それでは原発は止めましょうと簡単に廃止出来るものでもないとは思う。その費用、雇用問題は大きい。原発に換わるエネルギーにもプラス、マイナスがある。それに加えて政治的、経済的駆け引きが各国それぞれにあるわけだから、原発廃止が実現するとしても、まだまだ何年もかかることだろう。

これからは、原発の危険性を唱え反対するだけでなく、それに換わる新エネルギーの開発だけでもなく、かかる費用、比較数値、新雇用の見込み、跡地利用など、もっと具体的な提案が求められるのではないだろうか。ドイツでは既に活動が盛んだ。そして初めに実施した国が成功すれば手本となり、世界に広まっていくのだろうと思う。日本は被災国、原爆経験国でもある。依存率も27%とドイツに近い。新エネルギー技術は充分だと信じる。何とか初めの原発廃止実施国になれないものかと夢を持ちたくなる。そのためには技術者、政治家、経済界、民衆の私欲を超えた連携プレーが必要だ。
同時に電力の無駄使いも見直すいいチャンスだと思う。24時間ギラギラ輝き続けるネオンサインはそろそろ止めてはどうだろう?人々の気分もより落ち着けて、夜空の星が見えるようになるし、小さな節約が集まれば大きな数値になる。

アルザスや日本だけではない。この美しい地球の未来のため、現代に生きる私達が、
どげんかせんといかん!と思い始めた。

6 件のコメント:

  1. 同感!被爆国であり、地震国であるということを大前提に私達は安全なエネルギーへの転換を考えるべきでしょうね。
    まずは4月の統一地方選挙で民意がどうでるか、今度の選挙はとても大事な選挙になると思っています。

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  2. まず第一歩は選挙でちゃんと考えて選ぶ事ですよね。
    これまでお付き合いで選んできた選挙ですが、これからは私もちゃーんと考えて選ぶゾ!です。今は海外に住む人々にも選挙権があります。これも先輩方の大きな運動のおかげだそうです。

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  3. やっぱり声を上げ続けた先輩達がいるんですね。ヨーロッパに住む日本人はどんな形で日本の選挙に参加するのですか。

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  4. 大使館、領事館への在留届とは別に、在外選挙人名簿に登録し、
    投票には各管轄の大使館、領事館へ行きます。
    ここミュルーズからだと100キロ先のストラスブール領事館まで行かなくてはなりません。私の場合、年金を掛け続けている関係もあり、住民票は実家のままでしたので、登録が出来ませんでした。でも何故か帰国するたび選挙シーズンで、帰国翌日投票に行ったこともあります。全くたまたまですが・・・。

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  5. 100キロも離れていては選挙にいくのも大変、パソコンから投票とかには出来ないのかなあ。不正防止など難しい事情もあるのでしょうね。ご帰国時選挙してまた渡仏って優秀選挙人ですよ。今回、兵庫県は県会議員と明石市会議員選挙ですが原子力発電所に関して言及している人から選ぶことにしています。年金の件は賢明ですね、そうですよ、私が一人で自由気ままに暮らせるのは年金のおかげですもの。

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  6. みいちゃんさん
    パソコンからはグッドアイディアですね。難しい事情はあってもそのくらい斬新になって欲しいな。

    お褒めいただきありがとうございます。これからは率だけでなく、ちゃんと選んだ1票を目指します。
    小さな票が集まって国を変えることが出来る!のですから。

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