2011/05/01

Flaxlanden/フラクスランデン

家の前のとうもろこし畑を横切り、農道を永遠7kmほど歩き続けたところに隣町Flaxlanden/フラクスランデンがある。通常の散歩に往復14kmは歩く気になれないが、テン予防の犬の毛をいただいた農家がそこにあり、御礼を言いにハイキングに出かけた。
とうもろこし畑は土が耕されたものの、まだ種蒔はなされておらず見晴らしが良く、所々の畑は菜の花で一面黄色に輝いていた。農道は普通の車は立ち入れない。農作業の季節はトラクターや作業の人々の車が行き交うが、今はまだたまに散歩をしている人を遠くに見かけるぐらいだ。車の音も人の声もしない静けさが広がる畑の中、聞こえるのは小鳥のおしゃべりと、時々花から花へ飛び回る蜂の羽音のみ。何気なく道の脇に目をやると草の中に土筆が出ていた。ヨーロッパにはないと思っていたので、嬉しい発見だ。それでもフランスでは食す習慣がないようだ。雑草中の雑草の扱い。日本では独特の苦味が春一番の味として喜ばれているのに残念だ。

ようやくたどり着いたFlaxlandenは、お店といえばEpicerie/エピスリ(購買店)が一件あるだけの小さな村だった。家々の庭先には復活祭のデコレーションがなされていて、木の枝のあちらこちらにぶら下がったイースターエッグや木登りをしたうさぎのぬいぐるみがあどけなく、思わずシャッターを切りたくなってしまう。エコミュゼにあるような古いアルザス家屋にもこの村では人が住んでいる。
「横柱を見てごらん。年が刻まれてるから」
家の前で日向ぼっこをしていた住人が得意げに教えてくれた。1694年、300年以上前の家だった。
新築の家も村の外れに次々と建っていたが、そのどれもが色あせて見えるほど古い家屋には味があり、手入れは大変なのだろうが村の雰囲気に調和している。勿論ながらアルザス気質の手入れは完璧だ。
通りのあちらこちらには石造りの水槽があり、きれいな水が流れ出ている。こちらもよく見ると1763と石に彫ってあった。




 




     車を使うと行きつけのスーパーから10分ほどの、何ということはない小さな村、観光地などでは全くないが、畑の中を1時間歩き続けてたどり着くとこちらの気分のせいか、ワンダーランドに入り込んだような特別な気分になってしまう。
残念ながら農家の主は留守だったので、ありがとうのメッセージだけを残し、またのんびり菜の花畑の間の農道を帰路に向った。4月というのに初夏のように暑く、木陰に入るとほっとする午後、蜂の羽音が往路よりも大きくなっているように聞こえた。


5 件のコメント:

  1.  こんな道大好き!歩きたいナ~
    14k!4月の風に吹かれ、良いハイキングが出来ましたネ
    颯爽と歩いて行くシャイやぎさんの姿、想像できます(^-^)時には立ち止りパチリ!歩を進めつつ文も自ずと湧いて来る!
    読ませて頂いてると、あたかもその情景に吸い込まれて行ってしまう... 秀逸な文ですネー 

    菜の花キレイ! お家の色、落ち着いてますワ 出窓も可愛いネ
    お会いできず残念でしたネー
    キット!大喜びなさったことでしょうに...

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  2. 鳥のさえずりはともかく、蜂の羽音が聞こえるとは・・・春の風に吹かれて口笛が吹きたくなる~~~~そして行き着く先は18世紀前後の家や水槽のある村、ああ、観光ではとても行けないヨーロッパです。

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  3. 珍竹林さん
    最初は爽快だったのですが、帰ってくる頃は足を引き摺り、腰も曲がってしまってました。流石に14キロはキツかった。

    ちなみに菜の花もこちらでは食べないみたいです。残念。畑の菜の花ってオイル用らしく・・・でも黄色がきれいでしょ!

    文をお褒め頂き超光栄です。調子に乗ってしまいそう~!

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  4. みいちゃんさん
    世界中で蜂が減りつつあることが大問題というのをTVで見たことがありますが、取りあえずアルザスは大丈夫なのかな。蜂の羽音を
    あんなに聞いたのは私も始めての体験でした。

    口笛・・吹きましたよ~。小鳥のまねをして。たまに返事が返ってきます。田舎ならではの体験のお届けです。楽しんでいただけて
    私もとっても嬉しいです。

    シービビ、再度チャレンジしてみました。今度はでっかい音が響きましたヨ。

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  5. 小鳥達からお返事・・・メルヘン!!!

    負けずにシービビ吹きっこしましょう! アルザスと明石で。

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