2011/05/11

パリVSアルザスのレストラン

学生時代の女友達4人、初めてのヨーロッパ、パリに旅行した時のことだ。まだ20代前半だった。夕食に美味しいフランス料理が食べたくて、現地日本人ガイドさんにオススメを尋ねた。頭には映画に出てくるようなビストロを描いていた。
「どこか美味しいレストランご存知ありませんか?」
「そうねぇ、美味しいって言えば私は時々Ritz/リッツに行くわ。味はなかなかよ。」
幸いなことに私達4人とも、当時はお菓子のリッツクラッカーしか知らなかった。
「リッツって、どうやって行ったら良いのでしょう?」
「4人なら、ホテルからタクシーが便利よ。運転手なら誰でも知ってるから簡単よ。」
美味しくて、簡単に行けるならそこにしようと全員一致、夕食はリッツへ行くことにした。
頭の中ではパリのビストロ、狭いテーブルの間を長いエプロン姿のギャルソンがお盆を掲げて颯爽と歩いてた。タクシーが高級ホテルの前に止まると、戸惑った私達は確認のため、
「レストランのリッツなんですけど~」運転手はここだよとブスッと言った。
来たからには、と4人で勇気を出してレストランに入った。「ご予約は?」勿論ない。
だが時間が早かったため、テーブルをつくってくれた。目を見張るような豪華な内装。
スゴーイこれぞパリ。だが困ったのはメニューを見たときだ。最低のプチコースが当時の計算で約1万円だったのを覚えている。まだクレジットカードは持ち歩かない時代のこと、まず4人テーブルの下でこそこそ、持ち現金フランを確認しあった。良かった。何とかプチコースと水なら4人分オーダーできる。皿洗いをせずに帰れると思うとほっとして、途端に楽しくウキウキになった。
料理に何が出てきたかは覚えていない。ただ、どれもとても美味しかったこと、ワインでなく水にもかかわらず、食事中給仕が二コニコと良いタイミングに来てくれて、各グラスに少しずつ注いでくれたのを覚えている。「来たぞ来たぞ日本人の若い女の子、最近パリに増えたよなぁ」と思われていただろうが、見下した素振りは全くなかった。自然で上品なサービスは今だにいい思い出になっている。トイレも広くて豪華。興奮して写真を取りまくり、4人ともすっかり「リッツ」のファンになった。シャネルが晩年住んでいた、パリでも伝統ある超高級ホテルだと知ったのは、帰ってきてからのことである。今から思えば、気取った意地悪な現地のガイドさんだった訳だが、その意地悪が私達には通じず、お蔭でまたとない楽しい時が過ごせたのだから、今はその意地悪に感謝している。

さて次は、パリのリッツにも負けないアルザスのレストランを1つ紹介しよう。
その名は「Metzgerstuwa」。残念ながらこのアルザス語の発音、何度聞いても分からない。一般にはオーナーの名前、ムッシューSchluraff/シュラフのレストランと言っている。Mulhouse/ミュルーズとColmar/コルマールの中間にあるSoultz/ソゥルツという村にある。横は肉屋さんで同じ経営だから、レストランが美味しく値段もリーズナブルなのが納得出来る。レストラン内は部屋が複雑でいくつもに分かれている。空席情況により案内されるが、螺旋階段を登ったり、部屋を横切って奥の階段から3階へ案内されたり、時には調理場を通り抜けたりもするから面白い。食べる前にキッチンの様子が見れるわけだ。それだけにとても清潔で、調理人も多く皆忙しそうだが、いつもにこやかに「ボンソワール!」
料理はアルザス郷土料理でどれも美味しくボリュームがある。最近1/2サイズができたが、それで普通の1人前ぐらい。食事の前のアミューズと最後に出てくるアルザス特産、アルコールの強い果実酒シャナップはレストランのおもてなしだ。時々体重200キロのムッシュー・シュラフが各テーブルを挨拶に回って来る。「こんばんは、食事楽しんでくれてるかい?足りなかったら遠慮しないで言ってね。お代わりあるから。」優しい目をした気さくな人で、大きな体はいつも機敏に動いている。ブタのコレクターでもあり、レストランのあちこちにブタの絵画や置物などのコレクションが飾られている。実はこのムッシュー・シュラフ、レストラン以外にも長年の料理キャリアを活かした色々な活動をしていて、全国版TVにも何度も出演しているそうだ。大きな体と人懐っこいキャラクターはどこでも人気者間違いなしだ。
最近ではインターネットやガイドブックのお蔭で日本でもアルザスのレストラン情報が得られるが、未だ日本では知られていない「Metzgerstuwa」だ。
最後にフランス語ではあるが写真と雰囲気だけでも楽しめるので、素朴なHPを紹介する。

www.metzgerstuwa.fr

1)上の写真をクリックすると拡大されます。
2)右上のA la carte 、Les vinsをクリックするとメニューになります。
  写真付でないのは残念。
3)英語版は・・・出てきません。

6 件のコメント:

  1. 楽しく楽しく読ませていただきました。パリは「オッホッホ、可愛いねえ、若いって良いねえ」ですし、さすが一流ホテル、良い体験でしたね。アルザスは「迷路のような客室に入ってみたい!、食べてみたい!、ムッシューに会って見たい!」です。なんとも大らかな素敵なアルザスのレストラン。HPも早速見ましたよ。こんな方がにこやかにテーブルに来られたら、ダイエット中でもどんどん注文してしまいそう。素晴らしいガイドをありがとうございます。

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  2. 若いって素晴らしい!!恐れを知らず、素直で・・・。だから素晴らしい思い出が出来ましたね。アルザスのレストランは楽しそう。迷路のような店内の様子、雰囲気、「ああ、訪ねてみたい、食事をしたい」と思わせる素晴らしいガイド版です。HPも見ましたよ。シャイやぎさんが楽しくお食事をしていらっしゃる様子が目に浮かびます。今後もアルザス案内楽しみです~。何かの事情でコメントは無理でしたよ。

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  3. このところ、ご無沙汰でごめんなさい(._.)
    木蓮ですか?ピンク色がきれいですワ

    伝統ある高級ホテルでの貴重な体験をされ
    良かったですネー

    学生時代4人で和歌山に旅した際、
    支払い時!お金が足りなくて、マケテモラッタヨ!

    恥ずかしくも楽しい想い出ドスエ~

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  4. ムッシュー・シュラフ氏只今!16日18時53分
    拝見しましたヨー

    トラの3.7倍だね(@_@;)
    ホント!お人柄が伺えますワ

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  5. みいちゃんさん
    グーグルがトラブッたようで、最新のコメントが消えてしまったようです。コメントがメールに入るよう設定していたので、そちらからは読めました。ご迷惑おかけしました。

    恐れ知らずの若い頃を書きながら、これでも落ち着いた?自分を
    感じ、ちょっぴり残念な気もしています。段々目がキラキラするような興奮って無くなってきたような・・・。いけないいけない。
    触覚はいつも新鮮でいたいものです。まだまだこれから!

    ムッシュー・シュラフのレストランは次回にも登場します!

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  6. 珍竹林さん
    こちらこそ数日ブランクしてしまいました!

    珍竹林さんも忘れがたい想い出がおありなのですね。ふふふ。
    ハプニングはその時は真剣青ざめ必死!だったりしますが、
    だからこそスペシャルな思い出になりますよね~!

    3.7・・・フランスでは充分痩身ですワ。美味しいへの情熱、体調には気を使いつつ、体重には構ってられん!って方々が多いのです。
    私もすっかり傾向されました。

    ピンクは木蓮です。色々な色の木蓮があるのですね。白や紫も。
    でもこちらのは何だか匂いがありません。期待して鼻を近づけて
    見たのですが・・・種類があるのかなぁ?

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