2011/12/18

クリスマスツリー --- アルザスのクリスマス ---

サンタクロース、クリスマスマーケットの次となると、やはりクリスマスツリーかなと思うのだが、その前にインターネットから得る「情報」についての所感を一言。何かを調べようとする時、インターネットは大変有難い道具で必需品だ。座っているだけで歴史にしろ現代の様子にしろ、世界中のありとあらゆる情報が手に入るのだから、こんなに便利なものはない。ところが実際に使い始めてふと気付く。「いったいどの情報が正しいか」ということだ。確実性の基準がない。                  例えばクリスマスツリーの歴史を知りたくて検索してみる。検索に「クリスマスツリーの歴史」と入れてEnterを押せばよいだけだから簡単なのだが、337万件もの情報が現れ、最初のページの数件だけでもそれぞれ微妙に情報が異なる。おまけに同じ意味でも検索を「History of the Christmas tree」や「Histoire du sapin de Noël」 など言語を変えるとそのバラエティは更に広がり、お国柄なども表れてくる。だがそれらの情報、どこまで信頼性があるのだろう?
ネットでは誰でもが何でも言える状況だ。そんな中、ウィキペディアを主にした検索結果の寄せ集めに過ぎないが、今回はクリスマスツリーについてまとめてみたい。

起源は古代まで遡るようだ。北欧に住む古代ゲルマン民族「ユール」が冬至の祭りに使っていたともされている。民族の祭りの習慣は長い年月を経る間にキリスト教と混淆し、所謂クリスマスツリーとしては1419年にドイツのFreiburg/フライブルグでパン職人の信心会が聖霊救貧院にツリーを飾ったという記録が最初とされている。またドイツ人のMartin Lutter/マルティン・ルター(1483-1546)によってツリーに蝋燭が飾られるようになり、宗教改革と共に各地に普及していった。1510年にRiga/リガ(バルト海の入江に臨むラドヴィアの首都)で、1521年にはアルザスのMulhouse/ミュルーズで、1546年には同じアルザスのSelestat/セレスタで記録が残っている。なるほどMulhouse/ミュルーズについては現在もカトリック国フランスには珍しく、宗教改革の影響を受けたプロテスタント地域である。また12月21日と日付のあるセレスタの文献には、村の森に飾られたツリーを監視するため、森の番人に賃金が支払われたこと、ツリーを切る者には誰であれ罰金を課すことが記述されているそうだ。
余談だが、1521年はルターが宗教改革の文書の為、カール5世から国外追放された年でもある。

時代は少し飛ぶが、アメリカ合衆国での最初のツリーは1746年、ドイツ移民によって飾られた。当時はイギリス系清教徒から「異教の文化」と反発されたりもしたというから、同じキリスト教ながら面白い。イギリスに入ったのはヴィクトリア王朝時代(1837-1910)だ。女王を公私共に支えた夫のアルバートがドイツ出身であったことかららしい。ちなみに日本では1860年、プロイセンの使節オイレンブルクが公館に飾ったクリスマスツリーが初めとされている。                                       さて最後に現代のクリスマスツリーについて触れておこう。長い伝統からヨーロッパでは本物の樅の木が良しとされていて、今でも毎年11月末には樅の木屋さんが空地に現れ、大小の樅の木(その多くは東欧から)を売っている。風情ある伝統だが反面、エコ活動が進む現代に適していないと大きな議論にもなっている。問題は特にクリスマス後だ。昔は何のことなくそのまま焚き火にでもなっていたのだろうが、現代ではその焚き火が田舎でも勝手に出来ない。都会ともなればゴミ出しに大事で、市のゴミ回収車もお手上げとなっているのが現状だ。

変わらぬ伝統を重んじるか、伝統も時代の流れと共に変化していくべきなのか、クリスマスツリーに限らず難しい問題だと思う。何事も最も困難なのはそのバランスかもしれない。


8 件のコメント:

  1. クリスマスツリーの歴史、面白く読ませていただきました。

    日本でも焚き火が姿を消しましたね。火に集う人の輪も懐かしい・・・

    伝統か環境か難しい問題です。ふと、バイオマスという方法もあり・・と思って検索、355,000件ヒットしました。

    日本の門松、注連縄、籾殻、組織的に資源化できないものでしょうかね。

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  2. みいちゃんさん
    私も焚き火は大好きでしたから(焼き芋が!)、フランスの田舎でも禁止と知って少々驚きでした。
    少し前までは日本でも紙ごみは焼却炉でした。これが使えなくなるとごみの量は何倍にもなりました。
    組織的に資源化・・・考えないといけませんよね。きっとやろう!と思ったら、バイオマスの方法も可能なような。

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  3. いよいよクリスマスツリーの出番!!デスネー
    いろいろなのが出てるようですが、
    次第にLEDが増えて行くんでしょう

    マルチン・ルターの宗教改革!
    あぁー懐かしいなあー高校のとき習いました...

    焚火...焼き芋 小学生の時を思い出しました(-。-)y-゜゜゜
    真っ赤な顔・かお・カオが焚火の前に並んでたワー

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  4. 珍竹林さん
    世界各地のクリスマス照明がLEDに切り替わってますね。
    蝋燭からの発展、これも文明のリキ・・・それにしても
    クリスマスにルター登場、調べながらへぇーっの連続でした。
    マルチン・ルターがドイツ人とはっきり知ったのも今回。
    高校の頃はあっちの人・・・ですんでました(笑)

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  5. 高輝度発光ダイオード!!
    ダイオード...の名前懐かしいデスゥ
    M時代仕事でおなじみドシタンデー

    只今!検索してみたら、ナント沢山出てましたワー
    価格も安くなって...

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  6. 珍竹林さん
    そうでしたか、高輝度発光ダイオート、
    それにしてもムズカシイ名前ですネ。
    そして寿命の長さにはビックリですね。
    うちでも父がLEDに変えながら
    「もう生きてるうちに変えんでイイバイ」
    いやいや流石のLEDも父には勝てんような気がしておりますが。

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  7. ソウナンドスエ~
    ナントまあー10年は持つらしいの
    実はトラもネ 取り付けるの考えたんヨー
    意味分かるでっしゃろー
    3年前に第12胸椎圧迫骨折しとるしィー
    さてこれから10年は???

    毎年、年末に蛍光灯のデンキ換えてます。
    椅子に乗ったり、脚立に足を震わせながら上がったり(=_=)
    その内にバランス崩してひっくり返って、足でも折れたら
    もうイッカンのオワリ? 寝たきりになってシモタラ...と...

    この際LEDにしたら交換しなくても、エエンヤー(^◇^)
    それに長生きの意欲!!大いに出てきたんヨー
    LEDの為にも??

    お父上さまも長生きなさいますヨー!!!

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  8. 珍竹林さん
    脚立は危のうございます。LEDに交換して、
    下からしっかり見据え、負けんぞと気合入れるほうが
    ようございます。LEDも意欲満々、通常より明るく照らしてくれたりするかもしれまへんなぁ。

    ありがとうございます。父に伝えておきます!益々元気になりそ。

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