2011/07/11

傘の旅

梅雨が明けたのに、ではあるが傘の話。
先日父が電車に傘を忘れて下車してしまったらしい。
「娘からもらった傘ですけん」ということで慌てて問い合わせたところ、JRが親切に探してくれ、終点の駅に届けられていることが分かり、着払いで送ってくれたそうだ。母からその話を聞いて、私は首をかしげた。「傘とかあげたことあったっけ」「ほら、英吉利からのお土産で買って来てくれた傘よ。私にも。」
そう言えば傘に凝った時期があったなぁ。

どの本だかすっかり忘れたが、英国紳士の持つ傘について書かれた、上品でおしゃれな英吉利のエッセイを読んだことがある。英国紳士の持つ傘とは、ステッキになり得るほど細くキュッとたためるものだと書いてあったのを記憶している。そしてそんな英国紳士愛用の伝統ある傘ブランドがT.Fox & Companyだと紹介されていた。
ミーハーな私は英吉利に旅行したらお土産は傘だなと決め、そして実行した。海外旅行をしたことがある方にはよく理解いただけると思うが、傘は土産に適しない。折畳み傘ならまだしも、スーツケースに入らないからずっと手荷物として持ち歩かなければならない。重くはなくても邪魔になる。ちなみに折畳み傘なんて英国紳士には相応しくないものらしい。だから伝統ある英国製傘は通常以上に長い傘。それを2本、しっかり持って帰ってきたのだから、我ながら「よくやった」と感心する以上にあきれてしまう。しかも折角の英国製高級傘、父も母も「もったいない」と言って長い間使わなかった。
だが傘土産はまだ続く。イタリアからド派手な雨傘を自分用に(これは好評だったが、かなり使って壊れてしまった)。ベルギーからはブリュッセルレースの日傘を母に持ち帰った(これは恥ずかしいと今だに新品状態)。久々に広げてみると、その時の旅行の思い出までも蘇ってきて楽しくなる。かれこれ15年以上昔のことだ。

その後、私は旅行そのものが高じてロンドンに住むこととなる。そこで発見したことだが、何と実際のイギリス人は傘を持ち歩かない。なぜか?イギリスの天気は気まぐれだから、雨が降ってもどこかの軒先でちょっと待てば小ぶりになる、という訳だ。ましてや伝統高級傘なんて持ち歩いてたら、ちょっとした隙に盗られてしまう。実際私も安物なのに、唯一の傘を傘置きで盗まれ、その後は傘なして通した。

イギリスに住んでいながら、傘も持たずに過ごして帰国した娘に、今度は母が旅行土産として、JAL機内販売の折畳み傘を買ってきてくれた。今だにお気に入りで使っている。小さくて軽く、何より柄が世界地図なのだ。これならどんな雨の日でも楽しく歩ける。いやいや例え雨でも何処かに行きたくなる。そしてその後、この傘は描かれたデザインのごとく、私と共にあちらこちらと世界を旅することになったのだった。

英国製ならず、日本製も優れものですヨ。

15 件のコメント:

  1.  無事に戻ってきて、良かったですね!
    ハンドメイドのブリュッセルレースの傘 お洒落ですワー
    細くキュットたためる傘もスッキり!してますネ
    こんな柄の長い傘、初めてみました。

     お母さまからの、世界地図の傘も素晴らしいですねー
    何処へ行かれても、何時もご一緒の気分だったでしょ!

     やぎさん! お両親おもいなんですネー
    ご両親もやぎさん思い!でいらっしゃるんだワ

    色合いも良く、形も良く、ハイカラな傘を、
    ご紹介していただき、ありがとう(^◇^)

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  2. 珍竹林さん
    レースの日傘、写真にするとお洒落に見えますね。
    今年は若者にレースが流行ってるとか、今こそ使うとき!と
    母に勧めてみたのですが、ブリブリすぎるらしいです。
    確かに私もちょっと・・・!!またフランスパンの紙袋に入れて押入れへ。でも珍竹林さんに褒めていただいて、日傘も
    押入れの中で喜んでると思います。

    私は両親からは自分勝手なわがまま者、弟からは極楽とんぼと呼ばれ続けております。観察力の鋭い家族ですワ。

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  3. 一度きりの人生!!
    後悔しない生き方がしたいものデス

    トラは、後悔シキリ...
    でもその都度、自分なりに懸命?に生きてきたツ・モ・リ

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  4. 傘にまつわる思い出。シャイやぎさんのリズムに乗ってサラサラ~と楽しませてもらいました。レースの日傘素敵ですねえ。近頃は紫外線防止に力が入りすぎて、こんなお洒落な傘にはお目にかかりませんね。何もかもが実用本位なのは残念です。ゆ~たり、の~んびり優雅な日常に憧れます。この傘をみているとそんな気分になります。

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  5. 珍竹林さん
    私も後悔は人一倍です。でも過去のことは仕方ない。
    進むしかありません。
    人生がどうだったかって、幕が閉じる瞬間まで分からないそうです。その瞬間、笑って「満足じゃ」って言える様に、とにかく最後まで懸命にやるしかないのかもしれませんね。
    後悔は次に掴むハッピーの元と信じて。

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  6. みいちゃんさん
    日傘お褒め頂きありがとうございます!
    そう言えばこの傘、たたんだ時広がるのを抑える留め具もないんです。モネの時代から変わってないのかも(笑)
    確かに・・・ナットク。
    現代は日傘が存在しないヨーロッパ製だからかもです。
    あちらではどうやって日焼けするかが実用となります。
    これも文化の違いでしょうか?面白いですね。

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  7. エ~ッ留め金具ついてないんですね。だから買ったばかりのように美しいままなんですね。日本のだとラインがついてしまいますものね。ヨーロッパの人達って夏は平気で腕も肩も肌を出しますね。紫外線禍を気にしないんですね。

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  8. >後悔は次に掴むハッピーの元と信じて。

    流石~やぎさんダアー
    ありがとう(^_-)-☆

    そうネ!「アリガトウ!!」って、
    云って人生を卒業したいなあ~

    人生って!
    大体 良い事 悪い事 半分半分とか??

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  9. みいちゃんさん
    そうなんです。若くはなくても、スタイル良くなくても暑けりゃみんなノースリーブです。でも最近の紫外線は強くて悪質とか。過ぎた日焼けは禁物のようですね。

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  10. 珍竹林さん
    「アリガトウ」って言って人生卒業、いい表現ですね。

    良い事があると悪い事もあるのだと謙虚さを忘れず、
    悪い事があると良い事もあるのだと落ち込まずって事かな。

    悪い事があると「何で私だけ?」とついつい怒ってしまいますが、それでもいつも何かの形で救われてるのは感じます。
    人生まだまだ修行だぁ。

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  11. やぎさんに褒められ、今日は、朝から良い事が(^◇^)

    >良い事があると悪い事もあるのだと謙虚さを忘れず、
    悪い事があると良い事もあるのだと落ち込まずって事かな。

    (^O^)/前向きだあー見習おうっと!!

    「致命的な事以外は、なるべく人の云うことを受け入れるんだってサ」
    トラは、どうも我が強くて...無二の亡親友からの言葉デス!

     そうトラも!目に見えぬ何もの(キモチワリイナー)かに救われてる感じ...

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  12. ご親友からのお言葉だったのですか!
    前にトラさんから聞いたことがあって、その時、そうだなぁって私の印象に残っていた言葉です。

    私も我が強いもので。許容力がなかなか。

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  13. 前にも云うてましたっけートホホホ(+_+)
    もうすっかり忘れてたワ

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  14. それだけ大切な言葉ってことですヨ!

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  15. やぎさ~ん!
    ありがとう 身に染みりますぅ...

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