画家で、1995年 52歳という若さで既に亡くなっている。このエキシビジョンは、Mulhouseを離れることなく活動し、地元の美術教育に貢献した、彼への敬意と称賛を記念して開催されたもので、80点もの彼の作品が展示されていた。
「な~んだ。フランス片田舎の地元画家展か」と思う事なかれ!作品を見て、その精密さと限りないファンタジー、絵に込められたスピリチュアルな数々の暗示に、私はすっかり魅了されてしまった。シューレアリストと言えばダリを思い浮かべるが、そのダリもジャッキーのことを才能豊かだと称賛したそうである。1967年には共同のエキスポも開催され、話題を呼んでいる。
幸運にも会場では、JACKYの美術学校の生徒であった女性とCHEVAUX夫人が、2班に分かれてガイドをしてくださった。どちらもの話が聞きたくてウロウロしてしまったが、結局はじめに付いた元教え子のガイドをたどりながら、彼のそれぞれの絵のテーマや、共通してよく登場する魚が人類の起源のシンボルであり、表・裏、別の世界への橋渡しの役割をしていることなどを教わった。
彼は一生を通じて「死」というテーマを探求し続けたらしく、仏教哲学にとても興味があったらしい。私は彼の創作の世界全体に、グロテスクにもなりかねない超現実な絵の中にさえ、どこかしら慈しみの心を感じる。その心が完璧なまでの精密な絵にエスプリを与えているような気がするのだ。
地元なだけに鑑賞には、JACKYの知り合いだった人も一般に混じっていた。立ち話が始まると口々に、才能だけでなく人柄も素晴らしい画家だったと語り、見知らぬ人同士、同じ感動を共有しながら会話が弾んだりもした。会場はとてもアトホームな雰囲気に包まれいた。
それだけの才能があり認められながらも、国際的な超有名画家に至らなかったのは(多くの人々の疑問でもあった)、積極的な宣伝活動に全く興味がなかったかららしい。その点にも私は彼の素朴さを感じる。それでも彼のギャラリーはスイス、ドイツからの顧客も多く、充分に成功した画家である。
アトリエ再現 |
ガイドの終わりに、鑑賞者の一人が元生徒に尋ねた。「ところでさぁ、先生としてJACKYは生徒達にどんなだったの?怖かった??」彼女の顔が急に真剣になり、「決して!怖いなんてとんでもない。そりぁ~素敵な 先生だったわ。私達の中に積極的に入ってくれて。
口数は少なかった。でも 三言発するその三言ともが大ウケするのよ!そんな先生だったわ。」と語ってくれたのが印象的である。
尚、このブログ上に載せている写真は全て、美術館で許される範囲(フラッシュなし)ながら私の粗末なデジカメで撮ったものです。まだ日本語のサイトがないようですが「JACKY CHEVAUX」で検索してみてください。英語やフランス語が分からなくても彼の数々の絵が楽しめます!
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