「縁でしょうね。人と同じように物との出会いも縁ですから。」
縁といえば、お店にいる間中、あちらこちらから愛らしい視線を感じた。デコレーションのように飾ってある人形達だ。ビビッドなバックに決して埋もれず、それぞれ個性的なファッションと大きな瞳でアピールしてくるのだから面白い。イタリアからやってきたお嬢さんたちだが、その存在感は流石シニョリーナだと感心してしまうほど。思わず連れて帰りたくなる。そう思うのは私だけではないようで、「一人じゃ寂しいでしょうからと2つ買い求められたお客様もいらっしゃったんですよ。」「えっ?デコレーションじゃないの?」
実は少し先にある系列店の商品らしく、購入することが出来るのだ。
「気が合う子がいたら連れて帰ってあげてください。私も今考えているところなんです。」
そう言っていたづらっぽく笑う彼女に抱かれた人形はその茶目っ気が彼女に似ていた。
「縁かな・・・。」
「また気軽に遊びに来てくださいね。」何だか友人の店を訪れたような気にさせられた。
春、毎年何かしらいつもと違うことを始めたくなる季節。新しい財布を手にする度楽しくなる今日この頃である。